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2022年度 訪日教育旅行実施状況に関するアンケート調査の公表

お知らせ
2023.11.14

日本政府観光局(JNTO)では、日本全国で訪日教育旅行の受け入れを担当している組織・団体(都道府県の観光部署や観光振興団体など)に対して、2022年度の訪日教育旅行の受け入れに関するアンケート調査を行いました。各都道府県の47組織・団体から得られた回答を集計し、本ページにて公開いたします。

2022年度は、10月の新型コロナウイルス感染症に関する水際対策の大幅な緩和により、対面形式での学校交流が再開されるようになりました。一方で、インターネットを介した「オンライン交流」も多くの学校で行われており、対面形式の交流ができない間の対応としての役割を果たしました。今回は対面形式、オンライン形式を合わせた学校交流の実施状況について、調査を行いました。

尚、本アンケート調査は各担当者の把握状況に基づく回答であり、各地域の正確な受け入れ状況を反映しているものではありません。

1.2022年度の学校交流のマッチング実施状況について

対面形式、オンライン形式それぞれの実施状況について調査を行いました。「過去に交流実績のある学校とマッチングを行った」という回答は対面形式では65%、オンライン形式では24%でした。「過去に交流実績のない学校とマッチングを行った」という回答は、対面形式では2%に留まった一方、オンライン形式では27%に上りました。「その他」では、「把握していない、自治体経由での実績はない」「海外の学校から交流希望があったが、県側の体制が整っておらず実現に至らなかった」という回答がありました。

2022年度の学校交流のマッチング実施状況について

2022年度の学校交流のマッチング実施状況について(オンライン形式)

2.市場別実施件数の割合

市場別の交流実施件数の割合は、対面形式、オンライン形式ともに台湾からの参加が最多となり、特にオンライン形式では全体の64%を占めました。対面形式は交流地域が限られていましたが、オンライン形式は昨年度と比べても、より様々な地域とのオンライン交流が行われていました。

市場別実施件数の割合(対面形式)

市場別実施件数の割合(オンライン形式)

3.交流実施学校数の割合

交流実施学校数は、対面形式では高等学校が84%を占め、中学校での実施はありませんでした。オンライン形式では高等学校が72%、次いで中学校が13%、小学校が12%と続きました。

実施学校数の割合(対面形式)

実施学校数の割合(オンライン形式)

4.オンライン交流で使用したツール

オンライン交流はビデオ会議ツール等を用いて行われますが、どのツールが多く使用されているのか調査しました。その結果、zoomが最多で53%、次いでGoogle Meetが28%でしたが、teamsが16%となり昨年と比較して大幅に増えました。

オンライン交流で使用したツール

5.平均的な交流時間

平均的な交流時間は、対面形式では50%が3~5時間と回答し、オンライン形式では55%が60分という回答でした。対面形式では7時間以上という回答も20%あった一方、オンライン形式では全ての学校が120分以内でした。

平均的な交流時間(対面形式)

平均的な交流時間(オンライン形式)

6.学校交流の内容について

学校交流の内容について調査を行ったところ、以下のような内容が挙げられました。

対面形式

文化交流

書道や茶道、琴、浴衣の着付けなどのほか、けん玉や折り紙などの日本の伝統的な遊びを体験した。

給食(昼食)体験

日本の学校特有の習慣である給食の体験や、一緒に昼食をとりながら交流を深めた。

部活動見学・体験

部活動の見学、部員によるパフォーマンス、体験などを行った。

その他

「授業への参加」「クイズ、ゲームなどによる交流」「音楽交流(演奏・合唱など)」などの回答がありました。

オンライン形式

学校・学校生活の紹介/国・地域の紹介/文化の紹介/自己紹介

双方の学校や学校生活、国や地域、その文化などの紹介、また自分自身の近況や趣味、興味のあることなどを紹介することで、相互理解を深めた。

テーマを設けたプレゼンテーション/ディスカッション

SDGsや環境問題、自分たちが学んでいることなど、特定のテーマを設定してディスカッションやプレゼンテーションを行った。

クイズ、ゲームなどによる交流

クイズ形式、しりとり、ジェスチャーゲームなどを通じて、楽しみながら交流を行った。

その他

「質疑応答」「フリートーク」「共同研究・作品創作」「校内のバーチャルツアー」などの回答がありました。

7.学校交流時(事前準備含む)の自治体担当者の役割

学校交流実施にあたり、自治体担当者の役割について調査を行ったところ、「交流までの連絡調整」が最も多く、「交流当日の立ち会い」や「交流校の選定」などの事前準備が続く形になりました。

8.訪日教育旅行再開を視野に取り組んだこと

訪日教育旅行の本格的な再開を迎えるにあたり、それに向けて取り組んだことについて調査を行いました。「海外の学校に向けたプロモーション」が最も多く、「オンライン学校交流による関係構築」「教育旅行に関する説明会・セミナーへの参加」が続きました。その他では「SNSなどによる広報発信」「海外の旅行会社との関係構築」「販促ツール(パンフレット、ウェブサイトなど)の作成」といった回答がありました。

9.2023年度の受け入れについて

2023年度の学校交流の受け入れ状況について調査を行ったところ(2023年5月時点)、「学校交流を積極的に受け入れたい(対面形式)」という回答が34%、「現在受け入れが確定している学校がある(対面形式)」が30%、「学校交流受入れを前向きに検討中である(対面形式)」が16%と、対面形式での学校交流実施について前向きな意向を示す回答が8割に上りました。

その他の回答では、「学校からの要望があれば受け入れる」「積極的に受け入れたいが、連絡調整などに手間がかかり多くの受け入れができない」といった回答がありました。

訪日教育旅行再開を視野に取り組んだこと

10.交流を検討するにあたり、求められる情報

対面形式での学校交流を実施するにあたり、海外の学校を受け入れる際に自治体や学校の担当者はどのような情報を必要とするか調査を行ったところ、主に以下のような回答がありました。

相手の学校情報

交流相手となる学校についての情報を知りたいという回答が、最も多く挙げられました。具体的には、校風や特色、生徒の様子、規模(生徒人数)、食物アレルギーの有無などです。

相手が希望する交流内容

相手がどのような交流内容を求めているか知りたい、という回答も多く挙げられました。相手が望んでいるプログラムや所要時間のほか、相手校の体験したい日本文化も知っておきたい、という回答もありました。

他校の事例・交流状況

交流内容を具体的に検討するために、他の学校ではどのような形で交流を行っているのか知りたい、できれば視察したいという意見も、多くありました。

11.学校交流(オンライン交流も含む)の今後の課題

学校交流の今後の課題について、特に多かった回答は以下の通りです。

受入れ体制(宿泊施設、担当者の確保、負担軽減含む)

体験プログラムや宿泊施設の整備、担当者や費用面の負担の軽減などが課題として挙げられました。特にコロナ禍で数年間交流がなかったため、経験のある担当者の確保が難しい、引き継ぎが不足していて手順の確認が必要になる、といった回答も複数ありました。

受入れに係る情報の共有、相手校の選定・マッチング

交流を受け入れる学校の選定を課題に挙げる回答も多く寄せられました。問い合わせが多く連絡・調整に時間がかかる、大人数を受け入れる学校が見つからない、といった声もありました。

交流実施までの段取り、スケジュールなどの調整

訪問校側の旅程がなかなか確定しない、変更が多い、途中でキャンセルが発生するなどの回答が多く、オンライン交流と比べて調整に苦労している状況がうかがえます。レスポンスが遅いため、思うように調整が進まないという声も複数ありました。